ウィッグにボリュームを出す手段のひとつに、ふかしを入れるというものがあります。
ふかしとは、化学繊維製のウィッグに細かなうねりが付いた状態を指します。うねりにより毛がふわふわになりボリュームが出るというわけです。
最近はワッフルアイロンでふかしを入れる方法がトレンドですが、「ウィッグのためだけにわざわざ買うのもな...」という人もいると思います。
今回はおそらくどのご家庭にもあるであろう、ストレートアイロンを使ってウィッグにふかしを入れる方法を紹介します。
【目次】
必要なもの
ウィッグにふかしを入れるために必要なもの、あると便利なものを紹介します。
必須なもの
・耐熱ウィッグ
ウィッグは耐熱ウィッグを使用します。今回紹介する方法は人毛ウィッグには適さないので注意してください。
コスプレ用として売られているウィッグは多くの場合耐熱ですが、非耐熱ウィッグを扱っている店もあります。ふかしを入れるウィッグは必ず耐熱性のものを選びましょう。
今回はスワローテイルの105cmバンスを使用します。色はサイバーグリーンです。
・ストレートアイロン
ウィッグを熱するために使用します。
130度程度の加熱に対応しているもの、連続して10分程度使用できるものが望ましいです。
どんな大きさでもふかしは入れられますが、携帯用のミニアイロンはすこぶる時間がかかります。
わたしはSALONIAのヘアアイロンを使用しています。カール機能が付いていますがふかしを入れる作業では一切使いません。
・ブラシ
ふかしを入れたウィッグをほぐすために使用します。こちらもどんなブラシでも大丈夫ですが、ブラシの歯が丈夫なものかよくしなるものがおすすめです。ウィッグメーカーから発売されているウィッグ用ブラシであれば間違いなく使用できます。
わたしはタングルティーザーを使用しています。タングルティーザーはウィッグの手入れでも使えるのでコスプレをするならひとつは持っていると活躍します。
あると便利なもの
・コーム
目の細かいクシです。
ブラシと併用してウィッグをほぐすときに使用します。
お尻が尖ったテールコームがあると、ふかしを入れる箇所の毛をピンポイントで掬い安くなります。
静電気が発生しづらい素材でできたものがおすすめです。
わたしは貝印のセットコームを使用しています。
・手袋 軍手
加熱されたウィッグでやけどしないように付けます。なくても作業はできます。
どんなものでも大丈夫です。薄手の背抜き手袋が使いやすいです。
今回紹介する写真には写っていませんが、わたしはニトリル背抜き手袋を使用しています。
・保冷剤
相当急いでいるときに使用します。あると気休め程度には時短になります。
アウトドアで使うような大きいものよりは、小さめサイズが使いやすいです。
ウィッグの下準備
道具が準備できたら、ウィッグの下準備をします。
もし購入したウィッグが汚れていたり、嫌な臭いが付いている場合は洗って干しておきましょう。
また、絡まりがあると作業しづらいので、この時点である程度の絡まりはブラシで解いておいてください。
絡まりがひどい場合は、柔軟剤に漬けたり、ウィッグ用スプレーを付けたりして絡まった毛をほぐしておきましょう。
今後の作業で確実に絡まりは発生するので、ほどほどで大丈夫です。手ぐしが通る程度になれば十分です。
ウィッグにカットが必要な場合はふかし作業前にある程度切っておきます。ふかしを入れると長さが変わるので、理想より長めにカットしましょう。ふかしの後でカットしても問題ないので、不安な場合はふかしの様子を見た後でカットします。
もしウィッグに問題ない場合は、上記の作業はいりません。いきなりふかし作業に入ります。
ウィッグにふかしを入れる
ウィッグの手入れが終わったらいよいよウィッグにふかしを入れます。
ウィッグを一束手に取ります。
この時コームのお尻を使うとやりやすいです。
取る量は少ないほどやりやすいですが、時間もかかります。
ひとつまみ程度から始めてみて、自分にあった量を探してください。
先ほど掬った束をヘアアイロンではさみます。
注意点としては、必ずウィッグの耐熱温度の範囲でアイロンの温度を設定してください。耐熱温度を超えた熱を加えると溶けたり燃えたりする可能性があります。
作業前に必ずウィッグの耐熱温度を調べておきましょう。ウィッグの説明書やメーカーのホームページで調べることができます。
今回は130度で作業しました。
この時、ヘアアイロンを持っていない方の手で毛先を軽く持ちます。
毛先側から根元に向けてヘアアイロンを動かすことで、ウィッグに逆毛をたてます。
一気に毛先から根元まで動かすのではなく、アイロンではさむ→逆毛をたてる→アイロンを離すを細かく繰り返すのがコツです。
このように根元から毛先まで毛がぐちゃぐちゃに絡まった状態を作ります。
次に絡まった毛をヘアアイロンでプレスします。
毛を挟んで5~10秒ほど熱を加えます。
毛全体を加熱したら、十分に冷しましょう。常温のウィッグと同じ温度になるまで放置します。
急いでいる場合は加熱した箇所を保冷剤で挟んで冷まします。
ふかしを入れる作業は
毛をひとつまみ取る→逆毛を立てる→熱を加える→冷ます
これの繰り返しです。
ウィッグをほぐす
ウィッグが冷ませたら、絡まったウィッグをほぐします。
毛先から順にブラシをかけます。
少しずつほぐしていくのがコツです。根元から毛先に向けて一気にブラシをかけようとするとかえって絡みがひどくなります。
この時、ウィッグメーカーにもよると思いますが、すごい量の抜け毛・切れ毛が発生すると思います。問題ないのでそのまま作業しましょう。
ほぐし終わった毛がこちら。
毛に細かいチリチリが入ってふわふわになりました。
これをすべての毛がほぐれるまで繰り返します。
どうしてもほぐせない毛はハサミで切り込みを入れるなどしましょう。
完成
ウィッグ全体にふかしを施した姿がこちらです。
毛全体がひろがりボリューミーになりました。
ふかしを入れていないものと比較してみます。
右がふかしを入れたウィッグ、左は購入してそのままのウィッグです。ふかしを入れてた以外に違いはありません。
ふかしを入れた方は、太さが倍以上になりました。毛先の広がりは特に増しています。
ウィッグに細かなうねりが入ったことと、ボリュームが増して毛が持ち上がったことにより、ふかしを入れたウィッグはふかしなしのウィッグより短くなっています。「事前にカットする際は長めに」と先述したのはこのためです。
ふかしのボリュームを抑えたい場合は、梳きばさみで毛量を減らす、逆毛をたてる間隔を空けるなどしましょう。
ふかしを入れると簡単にボリュームが出せるうえに、ウィッグの形成作業がしやすくなるのでチャレンジしてみてください。
番外編 ふかしの入ったウィッグを戻したい
ふかしを入れたウィッグを再利用するために、サラサラストレートに戻したくなる時もあると思います。
そんなときはヘアアイロンでウィッグのチリチリを伸ばしてください。
これぐらいまできれいに伸びます。
ただ、購入したてのウィッグに比べるとやはり表面のツヤは失われています。
細かなうねりをすべて取るのは根気のいる作業になります。
もしお金に余裕があるなら買いなおした方がきれいな見た目になります。
というわけで、ウィッグのふかしについてのアドバイスでした。
参考になればうれしいです。