わたしは昨今のソシャゲ界隈に物申したい。
衣装に金のラインを使いすぎでは?
制服にも金ライン、ドレスにも金ライン、騎士も魔法使いも金ライン。袖や襟、スカートのすそなどで輝くゴールドの線。
大変映えるよねーわかるー。
でもね、コスプレイヤーとしてはたまったものではないの。一体何人の衣装自作派レイヤーが金ラインの前に散っていったことか。
衣装の金の模様を前に立ち尽くすレイヤーを救いたい。
ということで、自作派コスプレイヤーのわたしが今まで使ってきた、衣装に金ライン模様をつけるための道具を紹介します。
コスプレに限らずハンドメイドで服に模様やラインを付けたい人なども参考になると思います。
【目次】
布用マーカー(おすすめ度★☆☆)
【いいところ】
- 道具いらずで手軽に使える
- 安価
- 入手しやすい
【注意ポイント】
- 広い面積に使うには向かない
- きれいに塗るのは至難のわざ
布用マーカーは手軽に使える。キャップを外したらすぐ使えるし、準備や後片付けが不要、おまけに安い。一方、きれいなラインを引くのはかなり難しい。使用頻度によっては、かすれやペン先の摩耗で汚い線が出てきてしまう。
加えて、布とペンの相性次第で出来栄えに大きな差ができるのも注意。特にペン先がフェルト状のものは生地と引っ掛かるため線が荒れやすい。また、サテンなど生地によってはにじみやすく、ぼやっとしてしまうこともある。可能であれば事前に布の端で試し書きをしよう。
布用マーカーが活躍するのはちょっとした金ライン。リボンの端っこに数センチだけある金ラインのような、30cm以下の金ラインで一番輝く。
「あーライン引くのだるいなー」といつまでたっても作業に着手しないで経過する無駄な時間が生まれにくくなる時短グッズだ。
わたしはマービー 布描きしましょシリーズを愛用している。布が濃い色でもよく発色するので気に入っている。
セタカラー シマー(おすすめ度★☆☆)
【いいところ】
- 水、擦れに強い、洗濯できる
- 布の色に負けない発色
- 伸びる生地でも使いやすい
【注意ポイント】
- 準備から完成まで時間と手間がかかる
- ムラになりやすい
- 入手方法が限られる
セタカラーは布にかける絵具。発色がよく、おおよそどんな生地でもそつなく書ける優れもの。重ね塗りすれば布の色を完封できる不透明っぷりで、大変使い勝手がいい。
にじみが少ないので、塗料がしみこみやすいサテンなどでもはっきりと描くことができる。
これは過去にセタカラーシマーのNo.45を使用して柄を入れたスカート。白い部分の一本線と茶色部分の「小」みたいな柄がセタカラーでつけたものだ。白地はもちろん、生地が茶色であっても透けないところが気に入っている。
セタカラーは乾くとちょっとやそっとの擦れ、濡れでは落ちない。アイロンで定着させるともっと丈夫になる。洗っても落ちないので汗をかく衣装で大活躍する。
わたしはセタカラーをアイロンで定着させるときはカワグチのアイロンカバーを使用している。セタカラーは乾ききっていない状態でアイロンをあてるとアイロンに色がべったりとつく場合があるが、アイロンカバーを着けることで汚れを防げる。
伸びる生地に使ってもひび割れや引きつれがないのもいい。ジャージやニット、合皮などの伸びる生地にリボンなどで柄を縫い付けようとするとそこだけ伸縮しなくて困るが、セタカラーは布に直接塗料を載せるので柄も一緒に伸び縮みしてくれる。
便利ではあるものの、絵具なので筆やパレット、水、裏移り防止の新聞紙等々の準備が必要なのが少々面倒くさい。加えて、乾くまでに時間がかかるため爆速で衣装を作らなければならない修羅場には不向き。時間に余裕がある時に使おう。
それだけ時間をかけても、塗りムラが出やすいという欠点もある。筆の進む方向を変えて重ね塗りをすることでムラはある程度防げるが、それでも光の加減によってはムラが出てしまう。手塗りだからしょうがないとはいえ、気になるときは気になる。
セタカラーを入手する手段がほぼネット一択なのも注意。文具店や中小規模の手芸店ではまず売っていない。大型の手芸店であれば売っていることもあるが、ゴールドがあるかは怪しい。使いたいときに手元にないのを避けるため、わたしは定期的にamazonで購入している。
セタカラーについて詳しく書いた記事があるので、併せてどうぞ。
セタカラーが最も輝くのは、曲がったり、幅が変わったりするような複雑な模様を引くとき。臨機応変に対応できるのは、絵具系塗料の強みだ。
わたしはセタカラーシマーNO.45ゴールドが気に入っている。現実的な金属っぽさのある色が素敵。
セタカラーシマーNO.62リッチゴールドはNo45より黄色に近くてより華やかな色味。ギラギラ輝きたいときはこちらの方がおすすめ。
ユザワヤ両面サテンリボン(おすすめ度★★☆)
- コスパがいい
- 色・幅が豊富
- 入手しやすい
【注意ポイント】
- 伸縮性はほぼない
- すべりやすい
- 端処理必須
手芸店のユザワヤで売られている両面サテンリボンは、サテン特有の光沢のある生地によって黄色系が金色のように見える。わたしのおすすめは687番の『黄土色(オウドイロ)』で、少し暗めの黄色とサテンの光沢によって金属っぽさのある金色に見える。
おすすめポイントはコスパの良さ。6mm×10mがだいたい100円で買える。100均でもリボンは手に入るが、10mで売っているのはあまり見かけない。安いと気兼ねなく使えていいね。
色や幅が充実しているのもうれしい。3mm、6mm、13mmなどシーンに合わせて選ぶことができる。個人的には6mmが一番よく使う。ユザワヤは全国にあるので入手がしやすいというのも助かる。実店舗でリボンの色を実際に見ながら買えるので、色味にこだわる人にこそおすすめしたい。
ただ、サテンのリボンなので伸縮性はほぼない。そのためカーブ部分で使うのはかなり難しい。サーキュラースカートのすそに沿ってラインを入れたい時などは不向きだ。同じ理由で伸縮性のある生地に付けるのもおすすめしない。
また、サテン生地なのですべりやすく、ミシンで縫い付けると引きつれやたわみができることがある。これはミシンの押さえをテフロン押さえに変えるとうまくいきやすくなる。
あと、切った端からほつれていくので、使う時は端処理が必須。わたしはライターで軽くあぶって溶かすことでほつれないようにしているが、火加減を間違えると焦げ跡が残ったり余分に溶けたりするので慣れるまでは大変。ほつれ止めピケなどのほつれ止め液を使うとだれでもうまく端処理できるので、サテンリボンを扱う時は一緒にどうぞ。
ユザワヤの両面サテンリボンが活躍するのは、長い距離の直線ラインを入れたいとき。チェック柄を入れたいときにも重宝する。
熱転写ラバーシート(おすすめ度★★★)
【いいところ】
- 線が荒れず、きれいに仕上がる
- 調整が楽
- 機械を使えばよりハイクオリティ
【注意ポイント】
- 高価
- アイロン不可の布には使用できない
熱転写ラバーシートは、今回紹介する商品のなかで一番見た目がよく仕上がる。ペンや絵具ではどうしても掠れ、にじみ、色むらが出てしまうが、熱転写ラバーシートではそれらが起こらず均一な仕上がりになる。衣装で模様を入れたい場所に当てながら、ハサミでチョキチョキ調整するだけでできるのだから、大したものだ。
絶望的に不器用かつお財布に余裕があるなら、カッティングマシンを使用することで、機械まかせのハイクオリティ模様ができる。
カッティングマシーンのレンタルサービスもあるので、複雑な模様を切るときに重宝する。わたしはスタジオアスタリスクさんのカッティングマシーンを利用してレイヤー人生が変わりました。
ただし、ラバーシートはほかの製品に比べて高価なので、多用するには勇気がいる。うまく切り出さないと、何にも使えないハギレがたくさん出てしまい悲しい気持ちになる。購入前にどうやって切り出すかシミュレーションをしておこう。
また、熱でくっつける特性上、アイロンが使えない布にはどうやってもつけられないので注意。エナメルや合皮のようなアイロンが使えない生地はおとなしく別の方法を使おう。
これは過去に作った衣装の一部。赤い矢印で指した部分がラバーシートでつくった部分だ。上記のカッティングマシーンレンタルサービスを使用して量産したので同じ模様を大量に作ることに成功している。黒い布に貼っても透けない、色ムラがない、簡単に落ちないといいことずくめだった。
一番目立つ場所、複雑な模様の時によく映える。ここぞというときに使うとお財布にもやさしい。
バイアステープ(おすすめ度★★★)
【いいところ】
- 一定幅の線がきれいに仕上がる
- ふちどりできる
- 自分で作れる
【注意ポイント】
- 裁縫技術が必要
- 品切れに注意
バイアステープを使えば、だれでも簡単にラインを付けることができる。バイアステープを扱う知識と裁縫技術が必要だが、ミシンで直線縫いができるならば問題ない。手縫いでもなんとかなる。
上で挙げたほかの製品の共通する弱点に、布の端にラインが入れづらいというものがあるが、バイアステープならばふちどりに使うことできれいにラインが入れられる。
最大の強みは、売っていなければ自分で作ってしまえるところ。
バイアステープメーカーを使えば、自分の気に入った金の布で好きな長さのバイアステープが作れる。お財布にも優しい。
今わたしが最も使用している金ラインは渡辺布帛工業のアサヒマイキルト キルトバイアスメタリックだ。
バイアステープについているアイロン接着剤を使うことで、ミシンをかけている最中にバイアステープがずれてしまう心配がなくなった。全円スカートのすその金ラインから、ちょっとした小物の金ラインまでお手の物。もうこれなしでは生きられない体になってしまった。
キルトバイアスについての詳しい話はこちらの記事で扱っている。使用して作った衣装の写真も上げているので参考にしてほしい。
キャプテンのキルトバイアステープも同様にアイロンでくっつく。
アサヒのキルトバイアスより若干安いことが多い。しかしアサヒのキルトバイアスと違い作業中にどんどんテープがねじれてしまうのが地味にストレスなので、わたしはアサヒを使用している。
ほかにも、絵具に裁縫上手をまぜて簡易セタカラー化したものを使用したり、金のおりがみを使ってみたり、金の合皮を細ーく細ーく切って使ったりしたが、かかる手間に対して効果があまりよろしくないので、ここでは紹介を控えます。
衣装にラインを入れる作業は道具に頼るとずいぶん楽になるので、困ったときの参考にしてね。