しもじものたみ

生き抜け!コンクリートジャングル

Switchが欲しかっただけなのに日本を憂いることになった話

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パネルでポンも、コンパイルぷよぷよも、バンジョーとカズーイも、サルゲッチュも、ラチェットアンドクランクも大好きだ。

それでもわたしは、最新のゲームで遊びたい。主にSwitchで。

我が家にはテレビがない。正確には「現代の」テレビがない。ブラウン管テレビがリビングの隅にどっしりと構えている。テレビラックにはスーパーファミコンニンテンドー64PS2が鎮座している。端のほうにはゴッドイーター専用機となっているPSPもいる。令和に入って3年目だが、我が家のゲーム事情は平成で止まっている。

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我が家のゲームスペース。今どきの子どもは上に物が置ける厚さのテレビを見たことがあるのだろうか

そのため、SwitchがやりたいからといってSwitchを買えばそれで済むわけではない。我が家に最新ゲーム機を導入するということは、周辺環境をごっそり機器更新することに他ならない。テレビを変え、ラックを変え、配線類を変え、やっとSwitchを導入できる。あまりにも金銭と気力のコストがかかる。

しかし今は夫の扶養でぬくぬく暮らしている身分、わたしの独断でSwitch購入作戦を決行するわけにはいかない。どうぶつの森ポケモンスナップがやりたいSwitch導入推進派のわたしと、各種格ゲーがやりたいPS5およびゲーミングPC導入推進派の夫とで、日頃予算会議が繰り広げられている。メルブラの新作発売に伴い、夫が優勢に近づいているのが懸念点だ。

夫の稼いだ金で買うから話がややこしくなるのだ。

よし、Switch代、稼ぎますか。

パートでもなんでもすればいい話なのだが、少々事情が立て込み、パートタイムで働くことが困難だった。すると選択肢は短期労働に絞られる。都合がいいことに、単発バイトや日雇派遣の多くは給与が1か月待たずとももらえるときた。一刻も早くポケモンやどうぶつと戯れたいわたしにはもってこいだと思った。

さっそく検索にひっかかった派遣業者に登録をした。昔似たような形式でバイトをしたときはオフィスに出向いて登録作業をしなければなかったが、こんなご時世だからか、web上ですべての登録手続きをすることができた。大変便利である。

登録後、しばらくして一本の電話がかかってきた。先ほど登録した派遣業者からだ。ご登録ありがとうございます、今後ともよろしくお願いします、といった形式的な挨拶のあと、電話の向こうの男性が申し訳なさそうに告げる。

「ただいまご紹介できる短期間の案件がご用意できない状況となっておりまして...」

要約すると、現在の法律では短期間で派遣の仕事をする際は、年齢や、学生かどうか、そして収入の条件をクリアする必要がある。わたしはどの条件にも当てはまっていないからあてがう仕事がないそうだ。

 

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厚生労働省

○ 60歳以上の者
雇用保険の適用を受けない学生(いわゆる「昼間学生」)
○ 副業として従事する者(生業収入が500万円以上の者に限る。)
○ 主たる生計者以外の者(世帯収入が500万円以上の者に限る。)

厚生労働省「日雇派遣の原則禁止について」から引用

のいずれかに該当していれば日雇い派遣を例外的に認めますよ、といっている。

 理由については、

「生活のためにやむを得ず日雇派遣の仕事を選ぶことのない水準」にある者については、派遣労働者の保護が欠けるおそれが少ないため、原則禁止の例外としている。(厚生労働省「日雇派遣の原則禁止について」から引用)

 ということだ。

 

収入が500万円以上ある人、または世帯収入が500万円以上あるご家庭は、「生活のためにやむを得ず日雇派遣の仕事を選ぶことのない水準」というわけらしい。裏を返せば、500万円稼げない、生活水準が怪しい人を、あやふやになりがちな日雇派遣で働かせてはいけませんよ、ということだろう。

 

500万円って、誰しも稼げる金額なんだっけ?

 

国税庁令和元年分「民間給与実態統計調査 」によると、

1年を通じて勤務した給与所得者の1人当たりの平均給与は 436 万円

となっている。平均が500万円に達していない。平均的な所得の日本人は、「やむを得ず日雇派遣の仕事を選びかねない水準」というわけだ。

日雇派遣は「副業として従事する者」(年収500万円以上)ならば許可される。副業という言葉はあくまで「本業」があるもののみが使える言葉だ。ならば、年収500万円に満たない、本業といえるほどの給料ではない仕事は一体何業なのだろう。わたしが企業に勤めていた時の年収は約300万円だった。国にはおままごとか何かだと思われていてもおかしくない額だ。

 

「生活のためにやむを得ず日雇派遣の仕事を選ぶことのない水準」ではない人は、副業でもなんでもやって「生活のためにやむを得ず日雇派遣の仕事を選ぶことのない水準」になりたいだろう。わたしがそうだ。しかし、そのような人は弱者なので法律によって保護されるべきだというのもわかる。不十分な年収から脱却するために働きたいが、働くためには十分な年収が必要。まさにデッドロックである。

もちろん日雇派遣だけが労働形態ではないのだからほかの手段で副業をすればいいのだろうが、そもそも副業前提というのも納得いかない。わたしたちは「働きたい」のではなく、「お金が欲しい」のだ。

 

ただSwitchが欲しかっただけなのに、日本の貧乏スパイラルに悲しくなってしまった。

一刻も早くポケモンとどうぶつに癒してもらいたい。

どうやら日雇派遣ではなく、アルバイトという形態であれば短期で働けるようなので、いい感じの短期バイト、募集してます。一般よりがに股気味で歯並びが悪いですが、他は平均的な日本人女性です。どうぞよろしく。

 

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