しもじものたみ

生き抜け!コンクリートジャングル

SE時代についたあだ名を振り返る

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こんにちは、たみです。


今でこそ一日中自宅でポケットモンスターシャイニングパールをプレイする生き物になっているわたしですが、一応外の世界で働いていた時期があるの。

当時わたしはSE(システムエンジニアの略)と呼ばれていた。とはいっても名ばかりで実際はあまりSEぽいことはしていなかったけど。SEは実質あだ名みたいなものだった。

「SE」だけじゃなくて、理不尽かつ不名誉なあだ名を先輩方やお客様に多数いただいたものよ。当時はね、そりゃもう社会人1年生のピカピカガール。組織表で自分より上に名前がある人の発言はこの世の秩序だと思っていたから、ありがたく頂戴していた。

 


そんな神々から賜ったあだ名をね、仕事を辞めて丸2年経過しようとしているんで、いい機会だし振り返ってみようと思う。

 


わたしがSEとして働いていた会社は首から下げるタイプの社員証があったの。磁気カードで、機械の溝にシュッとするとドアが開く感じのやつね。

加えて、わたしはいわゆる「客先常駐SE」というやつでして。自社とは違う会社で働いていたから、そこの入館証も貸与された。ここのは入館証をかざすとピッと鳴ってドアが開けられるタイプだった。

さらにさらに、常駐先は別の会社の案件をやっていたのでそこにも出入りする。出入りすると入館証がまた貸与されるわけ。ちなみにここは社員以外はQRコードを読み取らせるタイプだった。

まだまだ続くよ。常駐先が仕事を受けている会社の上には案件を取ってきた大元の会社がある。もちろん入館証が必要。

大元の会社が取ってきた案件には、もちろん顧客がいる。わたしは病院に関する案件が中心だったので、病院が相手になることが多かった。病院に出入りするときは、もちろん入館証がいるよ。

病院の中には特定の人間しか入れないルームが存在する。そこに入るとき?病院の人にカードキーを発行してもらいピッとしましょう。

そうこうしていると、磁気、ICカードQRコード、顔写真入り、手書きなどなど、手元には各社の個性が主張されたバラエティに富んだ入館証やカードキーがあふれかえる。

ここにさらに、プロジェクトメンバーとして関わった会社の数だけ名刺が加わる。

 


んで、ついたあだ名が「カードキャプター」。

 


もちろん語源はあの人気作品『カードキャプターさくら』から。確かさくらちゃんが相手にしたカードって20枚ぐらいじゃなかった?わたしの全盛期もそれぐらいのカードをこの手に収めていたから名実ともにカードキャプターかもしれない。

 


あのね、別に好きでキャプターしているわけではないの。実際1枚で済むならそれに越したことはない。なんなら1枚もいらない。

会社(ここでは自分が給料をもらっている会社を指す)の社員が自分の名刺を紛失したとき、社内掲示板で晒上げられ、全社員にメールで通達され、業務後に「社員証をなくすことは末代までの恥です」と言わんばかりの研修が実施された。

もうね、わたし、地雷原じゃん、って思ったよね。自分の名刺をなくしてこんなことになるのなら、わたしの首に掛かっている数多のクロウカードがなくなってしまったらどうなっていたのか。市中引き回しのうえ打ち首獄門とかに処されてもおかしくない。

 


紛失リスクにおびえて暮らすのも辛かった。

でもね、もっと辛かったのは、各所に入館するとき。

派遣の力を秘めし鍵よ!契約のもとわたしが命じる!
つってんのに、封印解除できない。うんともすんともドアが開かんのよ。

まぁ、全然別の会社の入館証を一生懸命タッチしていたからなんですけど。

まだ、まだね、百歩譲って誰もいない時間帯ならいいの。やだぁレリーズしそこねたわ恥ずかしい、で済むから。でも、だいたい失敗するときは、朝皆さんが通勤するときなの。わたしがね、封印解除にしくじって照れてる間に背後には長蛇の列ができるわけ。

心が、辛い。心が市中引き回しの上打ち首獄門を受けているのよ。

 


こんだけカードキャプターだと派遣先の人々もおびえていたっぽい。

プレゼンをするときはA社の社員証、プレゼン資料を作るときはB社の社員証、プレゼンの打ち上げをするときは自社の社員証、といった具合に、そのときどきで社員証が目まぐるしく変わっていた。ついでにわたしの立場も変わっていた。今日はどの会社の者ですって名乗ればいいんだっけ?と適当かますと、派遣先の人がすっ飛んできてしまう。最終的にはわたしの名刺と社員証をチェックする係ができていた。有能な技術者に小学校の先生みたいなことをさせてしまい、申し訳がない。

 


客先常駐派遣SEは自分がどこの人間なのか、自分は何をすべき人間なのか、わたしは誰でここはどこなのか分からなくなりがち。アイデンティティの崩壊である。

そんなとき、社員証をピッとすると、「あぁ今日はここの人間だ」とほっとするのだ。根無し草に根が生える瞬間。まぁその根っこも数日後にはなくなるんですけど。

 


さくらちゃんも「汝のあるべき姿に戻れ!」つってたし、社員証でレリーズする作業はなくなってほしいけど本当になくしていいかはわからない。

 


きっと、今日もどこかでわたしとは別のカードキャプターがシステムを守っているはず。頑張れカードキャプター。応援しているよ。

わたしは、もう後ろに長蛇の列ができる光景を見たくないので、家でポケモンのたまご孵化させながら、Pokémon LEGENDS アルセウスの予約券を眺めていますね。

 


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