コスプレイベントで、こんな光景を見たことはないでしょうか?
撮影されているコスプレイヤーの横に、スケッチブックが置かれています。
今回はこのスケッチブックが何なのかについて説明します。
【目次】
スケッチブック(スケブ)とは
一般的にスケッチブックや絵を描くときに使いますが、コスプレイベントでは絵以外の用途で使われます。
コスプレイベントでは、主に連絡先の伝達手段として用いられます。
コスプレ界隈では略して「スケブ」と呼ばれることもあります。
名前や連絡先、コスプレしているキャラクターなどをスケッチブックの一枚にまとめ、自分の近くに置いて使います。こうすることで、カメラマンに効率的に自分の連絡先を伝えることができ、写真の受け渡しをスムーズにすることができます。
カメラマンの来場が多い大型のイベントほど使用されている印象です。
スケブは必ずしもスケッチブックが用いられるとは限りません。ホワイトボード、リングノート、タブレット端末など、さまざまなものが使われていますが、総じて連絡先の書かれたもの=スケブと呼ばれていることもあります。
本記事では、以下スケッチブックを「スケブ」と呼ぶこととします。
スケブの内容
スケブに書かれる情報はコスプレイヤーによってまちまちです。
ここではスケブでよく見かける項目を紹介します。
○名前
コスプレ活動時に使うハンドルネームを書きます。
もし頭に「CN(コスプレネーム)」と書かれていたらそれがそのコスプレイヤーさんの名前です。
○作品・キャラクター名
コスプレしている元ネタの作品とキャラクター名です。
作品に迷惑をかけたくない、コスプレに自信がないなどという理由であえて書かない人もいます。
○連絡先
写真の受け渡しをするための連絡先です。
X(旧Twitter)のIDが書かれている場合が多いです。QRコードを載せる人もいます。
○お礼の一言
「撮影ありがとうございます」などのお礼の一言を書く人もいます。
わたしの体感ではスケブを出している人の1/3ぐらいがお礼を書いている気がします。
○データの希望
写真の扱いや受け渡し方法についての記載です。「データはギガファイル便で送ってください」「RAW希望です」など、コスプレイヤーの希望が書かれているので、可能な限りカメラマンは要望通りにすると親切です。
○撮影についての希望
コスプレイヤーによってはされたら困ること、嫌なことをスケブに書くこともあります。「フラッシュはやめてください」「撮影は5枚まで」「フォロワーのみ撮影OK」などが書かれていた場合は撮影時これに従います。
○キャラクターのイラスト
コスプレしているキャラクターのイラストが描かれていることがあります。
スケブの空いたスペースを有効活用するのに丁度いいです。
○ソシャゲのID
コスプレするキャラがソシャゲのキャラの場合、自分のソシャゲアカウントを掲載することでフレンドを増やすという人もいます。「自分はちゃんと原作も知っていてただ着ただけのコスプレイヤーではありませんよ」というアピールにもなります。
代表的なもののみ紹介しましたが、自分の伝えたいことは(公序良俗に反しない限り)何でも書いてOKです。必要に応じてカスタマイズしてください。
スケブの選び方
先ほど「スケブといっても必ずしもスケッチブックが使われるとは限らない」と書きました。
では極端な話A4コピー用紙1枚ぺらりと持っていればいいかというと、なかなか使いづらいと思います。
ここでは、コスプレイベントに合ったスケブの選び方について述べようと思います。
コスプレイベントで使うスケブ選びのポイントは、「自立」と「読みやすさ」です。
イベント中、特に撮影中はスケブをずっと持っておけるわけではなく、足元に置くことになると思います。地面に寝かせるようにおいてもいいのですが、カメラマンからは見づらくなります。カメラマンから見やすくするため、多くのコスプレイヤーは文字の書かれた面が撮影者側に向くようにスケブを立てています。
スケブを自立させるには一定の固さが必要です。スケブを自立させたい場合は、固い表紙が使われていてあまりにも軽すぎないものを選びます。百均で売っているスケッチブックにはまれに画用紙程度の厚みしかない表紙が使われていることがあります。こういったスケッチブックは自立させるのが難しいです。
次に考えるのは「読みやすいさ」についてです。スケブ選びは読みやすい字が書ける大きさであることが重要です。たくさん書きたいことがあるのに小さいスケブを選んでしまうと、小さく細い文字でたくさんの情報をかくことになり、カメラマンに読んでもらえなくなるかもしれません。それではせっかっくのスケブが台無しです。
まず自分がスケブに書きたい情報を一旦紙に書きだし、必要な大きさを考えてみてください。撮影時コスプレイヤーとカメラマンの位置は1~3mほど離れるので、その位置でも読めるかどうかを判断します。
などと長々と書きましたが、大きいスケブ、固くて重いスケブは持っていくだけで疲れるので、無難にマルマンスケッチブックのA4サイズがあればよっぽど大丈夫だと思います。
スケブの使い方
スケブの使い方も人それぞれです。
よく見るスケブの使われ方3パターンを紹介します。
○撮影前に横に置いておくパターン
人気のコスプレイヤーがよくやっている手法です。
撮影が始まる前に自分の足元にスケブを立てかけておきます。
撮影に来るカメラマンと連絡先の交換や撮影の確認をいちいちしなくて済むので便利です。
イベントによっては、私物を一定時間同じ場所に置く行為を禁止していることもありますので注意しましょう。
○連絡先交換の時のみ出すパターン
普段はかばんの中にしまっておいて、カメラマンから「連絡先教えてもらってもいいですか?」と言われたときだけ取り出すタイプです。
日が高い時間帯はスマホの画面が見づらいので、紙で連絡先が書かれていると本当にありがたいです。
「スケブ使いたいけど自分の前に置いてると撮影待ちしているみたいでちょっと恥ずかしい...」といった人はまずここから始めてみるのもいいと思います。
○休憩中パターン
名前や連絡先を書いたページとは別のページに「休憩中」と書いておき掲げておくことで撮影を暗に断ることができます。
メイク直しや水分補給をするとき、さっとページを変えるだけなので便利です。
この他にも、「撮影中止」「待ち合わせ中」などと書いている人も見たことがあります。
スケブを使うメリット・デメリット
どんな場合でもスケッチブックを使うのが便利かというと、そうでもありません。
ここではスケッチブックを使うメリット・デメリットを紹介します。
使うかどうかを判断する材料にしてみてください。
メリット
○伝えづらい要望をあらかじめ意思表示できる
特にコスプレ初心者のうちは、場の空気に押されて嫌なことを嫌と言えないことがあります。あらかじめ嫌なことを書いて伝えることで、嫌なことに合う確率を減らすことができます。
○撮影してもらいやすくなる
コスプレイベントの撮影マナーとして、コスプレイヤーに一声かけてから撮影するというものがあります。カメラマンによっては「素敵なレイヤーさんが目の前にいるけど今撮影させてもらえるかな」「もし断られたらいやだな」などと考えていることもあります。
スケブが前に置いてあるコスプレイヤーは、撮影準備が整っているのでカメラマンが声をかけやすくなります。撮影してもらいたいときは積極的に置くようにすると声をかけてもらえる確率が上がるかもしれません。
○連絡先交換が楽かつ正確
「TwitterのID教えてください」と言われてその場でスマホをいじり、「えーっと@...」と読み上げるのはもたもたしますし正確性に欠けます。自分のアカウントを見せればいいですが、昼のイベントでは画面が暗く見ずらい、文字が小さくで不便などなかなかうまくいかないものです。
そんなとき、大きな文字で表せるスケブは重宝します。
また、自分の近くに置けば、イベント当日の自分の衣装とアカウント名が紐づきやすいので、カメラマンにも親切です。
○キャラクター名を知ってもらえる
マイナー作品のコスプレをする場合、撮影者がキャラクターを知らないということがあります。そんなとき、スケブに作品名とキャラクター名を記載しておくことで、興味を持ってもらいやすくなるという魂胆です。要するに布教活動の一環です。
デメリット
○荷物が増える
単純にスケッチブック一冊分の荷物が増えます。もしイーゼルなどを使うならさらに増えます。
○知られたくない人に連絡先を知られる可能性
スケブを置くと、不特定多数に自分の連絡先を公開している状態になります。
困った参加者や、過去に不仲になった人、学校や職場の人など、自分のSNSが知られたくない人に知られる可能性は常に頭に入れておいた方がいいと思います。
というわけで、今回はスケブについての話でした。
スケブがあったからといってものすごく便利になることもないですし、逆になかったからといって不便になることもそんなにありません。
ちょっとだけイベントを楽にするという感覚で、気軽に使うのがよろしいかと思います。