コスプレイベントには参加者がコスプレイヤーにお菓子などの物を渡す「差し入れ」という文化があります。
今回は、コスプレの差し入れについて解説をしようと思います。
この記事を書いている人はコスプレイヤーでありカメラマンなので、差し入れする側とされる側両方の視点でお話します。
【目次】
差し入れする理由
わたしがコスプレイベントで他の参加者に差し入れをするとき、以下のようなことを考えています。
イベント中快適に過ごしてほしい
野外で行われているコスプレイベントにはあまり環境が良くないものがあります。特に真夏・真冬の厳しい気温の中行われるイベントであったり、多くの人でごった返すイベントは参加者の疲労もひとしおです。
そんな中でも参加しているコスプレイヤーやカメラマンには少しでも快適に過ごしてほしいと思って差し入れをします。「お互いに生きて帰りましょうね」というある種の同族意識の表れともいえます。
撮影への感謝の気持ち
これはカメラマンとして参加している場合によく考えています。
基本的にイベントに参加しているコスプレイヤーは、同じイベントに参加しているカメラマンであれば無償で撮影に応じてくれます。
何枚か撮影させてもらえたら「ありがとうございました」とお礼を述べればそれで充分ではありますが、感謝のしるしとして何か差し入れをすることもあります。
写真を撮らせてもらえないコスプレイベントほど悲しいものもないので、写真を撮らせてもらえたらちょっとしたものを差し入れすることにしています。
交流のきっかけとしての差し入れ
ここまできれいな差し入れの理由を述べてきましたが、ここからはちょっと下心の入った話をします。
コスプレイベントの撮影は、
コスプレイヤーに声をかける→撮影の許可が取れたら2・3枚写真撮影→お礼を述べてカメラマンは退散
というのが大まかな流れです。
本当はもうちょっと交流したい。あわよくばSNSの連絡先をゲットしたいという時、差し入れを会話のきっかけとすることがあります。
撮影が終わって立ち去る前に、「これよかったらどうぞ」と差し入れをして会話のきっかけを作り、「衣装が作り込まれていてすごいと思って見てました」「そのキャラクター一番好きなので見られてうれしいです」「よかったらTwitter教えてもらえませんか?」などと次の会話につなげます。
わたしは名刺と一緒に差し入れのお菓子を渡すという作戦をよくやります。
差し入れする人は全体の2割程度
では、コスプレイベントで差し入れをする人は一体どれぐらいいるかというと、わたしの体感では全参加者の2割程度という感じです。
傾向としては、
・全シーズン差し入れはあるが、夏・冬の厳しい季節の方が多い
・差し入れをする側に性別の差はあまりない。男女関係なく差し入れする人はする
・カメラマンからコスプレイヤーに向けた差し入れが多いが、逆も少なからずある
といった感じですね。
差し入れがある方が喜ばれる一方、差し入れをしない人の方が多いので、「コスプレイベントに行くなら何が何でも差し入れ持っていくぞ」と意気込む必要はありません。
コスプレイヤー側も、「一日イベントにいて差し入れが一回ももらえなかった...私は魅力がないんだ」と思う必要はありません。
差し入れする側、される側ともに深く考えなくて大丈夫です。
差し入れの選び方
差し入れは気持ちが大切ですが、差し入れにチョイスする品物次第では相手に嫌な思いをさせたり、受け取ってもらえないこともあります。
ここでは差し入れ選びのポイントを紹介します。
気温に影響されないものを選ぼう
コスプレイベント、特に野外で行われるコスプレイベントは気温の影響をモロに受けます。そのため、気温次第で腐ったり溶けたりするような物は差し入れには向いていません。
暑い季節は、生菓子や手作りの品などの常温以上で腐りやすいもの、アイスクリームやチョコレートなどの溶けやすいものは避けるようにしましょう。
特に夏場は食品が傷みやすいので、注意しましょう。不安であれば食品以外を選ぶのもありです。
荷物にならない小さな物がいい
コスプレイベント中は意外ともって歩く物があります。メイク道具や小道具、飲み物、軽食などをかばんに詰めてコスプレイヤーは歩いているので、そこにかさばるものを差し入れされると結構困ります。
重たい物、大きな物、複雑な形状の物は差し入れとしてはあまり適していません。
わたしは200mlのペットボトル飲料(自販機のホットにあるアレ)を大きさ・重さの目安にしています。あれ以上のものは差し入れしないようにしています。
個包装のものは安心感がある
いくらコスプレ仲間とはいえ、知らない人からもらった食べ物というのは多少なりとも抵抗感があります。
一目で封が切られていないことが分かる個包装のものは、もらう側からすると安心感があります。
逆に言えば、タッパーに詰めてきたお菓子や一度開けていても分かりづらい包装のものなんかは警戒されて受け取ってもらえないこともあります。
菓子や消耗品などの「安い消え物」が無難
プレゼントの品としては、タオルやハンカチ、アクセサリー、ぬいぐるみなども候補にあがるかもしれませんが、長く使うことを想定したものは警戒されてしまうかもしれません。GPSや盗聴器が仕込まれているのではないか、使わないと面倒なことになるのではないかと考えてしまい気軽に持ち帰れません。
無難にお菓子などの安くてすぐなくなるものをプレゼントしましょう。
本人が欲しいと言っている物が一番
コスプレイヤーによってはSNSなどで欲しい物、受け取れるものを公表していることがあります。
いくら差し入れする側が一生懸命考えても本人が欲しいと言っている物以上の差し入れはできません。
応援したいコスプレイヤーがいる人は、情報をチェックしてプレゼントするのが確実です。
文章で公開していない場合も、amazonの欲しい物リストが公開されていれば参考にするのもいいでしょう。
ただ、すべてのコスプレイヤーが欲しいものを公開しているわけではありませんので注意してください。
差し入れにおすすめの品
ここではわたしがよく差し入れに選ぶ品や、過去コスプレをしているときもらった差し入れで嬉しかったものを紹介します。
差し入れ選びの参考にしてください。
飴・ソフトキャンディー・タブレット
一番もらう差し入れと言っても過言ではありません。
わたしもよく持っていきます。
小さいので荷物の邪魔になりませんし、日持ちもするので好きなタイミングで食べてもらえます。
わたしは撮影の合間に食べてもすぐなくなるサイズであれば食べてもらいやすくなると思い、できるだけ小さいものを選んでいます。
暑い季節は溶けやすいので注意が必要です。
スティック飲料
ブレンディスティックに代表されるような、水やお湯に溶かすだけで飲み物ができるインスタントスティック飲料は、冬場のイベントでよく持っていきます。
個包装かつ軽く、一年を通して持っていける差し入れなのでまとめて買ってあります。
さまざまな味があるので、コスプレイヤーさんに選んでもらい、会話のきっかけとすることもあります。
汗拭きシート
真夏のイベントでもらって本当に嬉しかったです。
イベント後の更衣室で汗を拭けたのでサラサラになって快適でした。
大容量の物は重たいので、10枚程度のものだと邪魔になりません。
香料やアルコールがNGの人もいるので、わたしは無香料低刺激のものを差し入れしています。
メイク落としシート
メイク落としを忘れるコスプレイヤーは少なくないので、渡すと喜ばれます。
オイルタイプやクリームタイプのメイク落としも世の中にはありますが、重たいので差し入れには適していません。
汗拭きシート同様、10枚入りぐらいの大きさだとかさばりません。
ホットアイマスク・冷却シート
いずれも家でくつろぐためのグッズです。
コスプレは本当に疲労がたまるので、これらのグッズがあると気持ちよく寝られます。
特に足の疲労はすさまじいので、足関係のグッズは特に喜ばれます。
差し入れは断られることもあるし、断ってもいい
コスプレイベントにおける差し入れは、誰に強制されたものでもありません。渡すのも自由ですし、差し入れを断ることもまた自由です。
人にはさまざまな事情があります。アレルギーがあったり、過去の経験があったり、自衛のためであったり、いろいろな理由で差し入れを断ることもあるでしょう。
差し入れが断られても「なにか事情があるんだな」と納得し、素直に引き下がりましょう。
差し入れされる側も、ちょっとでも違和感を感じたら差し入れを断ってもいいんです。
世の中には悪意を持って差し入れしてくる人間もいます。自衛のためにも嫌なときはNOと言えるようになっておきましょう。
断ってもなお受け取りを強要してくるような人がいれば、ほぼ確実に危ない人だと思って大丈夫です。断り切れないのならすぐに近くにいる人やイベントスタッフに助けを求めましょう。
差し入れはコミュニケーションツールになったり、感謝を表せる一方、トラブルの元となりやすい一面もあります。
差し入れをするときは相手のことをよく考えましょう。差し入れをしない判断をしてもコスプレイベントの参加には全く問題ありません。
差し入れをうまく利用してコスプレイベントを楽しみましょう。