ミシンを使う上で、「糸」「針」に並んで重要なパーツがあります。
アタッチメントです。
「押え」や「アクセサリ」とも呼ばれます。
このパーツが布を押さえていてくれるおかげで、我々ヒューマンはミシンを使った裁縫ができるわけです。
アタッチメントの能力はただ布を押さえるだけではありません。
アタッチメントを付け替えることで、お手持ちのミシンは新たな能力を開花させることができます。
例えば、こちらのテフロン押え。
一見すると、家庭用ミシン購入時に最初からついている基本押えと変わらない形状です。
テフロン押えは、合皮、エナメル、ゴムといった生地を縫うときに真価を発揮します。テフロン押えは金属製の押えよりすべりやすいため、摩擦が大きい生地でもスムーズに縫うことができるのです。
このように、素材や目的、ミシンスキルに合わせて適切なアタッチメントを選ぶことで、クオリティ・オブ・ミシン(略してQOM)が高まり、よりソーイング生活が豊かになります。
この世には実に多くのミシンアタッチメントが存在します。
今回は、数多あるアタッチメントの中でも、わたしが特に気に入っている逸品について紹介したいと思います。
その名も、
スーパーらくらくタック
株式会社KAWAGUCHIから発売されているミシンアタッチメントです。
まず、名前がすばらしい。タックという言葉に「スーパー」と「らくらく」という修飾語を使用しているところに親近感がわきます。サステナブルとかクリエイティブとか、そのようなインテリジェンスを醸し出すお堅い雰囲気とは対極にいる語彙ですね。
おいおい聞いたか?「スーパーらくらくタック」だとよ!
そんな軟弱そうな名前のヤツがウチでやっていけるのかねぇ
奇をてらったネーミングで目立とうって算段じゃないですかね?
結局のところ基本押え一つあれば何でもできるのにな。不憫な新人だ。
あっ基本押えさん、ちょっと、
基本押え一つで、ねぇ...
うちらはお役御免みたいですわ。次のファスナー付けは、基本押えさんにやってもらいましょう。
(ファスナーの取り付けに特化したお二方だ。さすが替えのききづらい用途を持っているだけあって強気だ!)
嫌だなあ、冗談じゃないですか。そういえば聞きました?うちに新人が来るって話。
へんちくりんな名前のヤツでしょ?
スーパーらくらくタックかぁ。「送りジョーズ」以来の変わった名前の新人ね。
そういえば送りジョーズさんって、今何やってるんですか?
出撃できる戦況になるまで”待機”だとよ。聞きなれない名前のヤツってのは、用途が限られがちだからな。
…。
世知辛いなぁ。
みんな!緊急事態だ!
三巻押え!持ち主が一向にうまく使いこなせないせいで、いつも引き出しの隅を守護している三巻押えじゃないか!久しぶりだな、どうした?
持ち主が、ミシンをいじりだした。
何だって!?
どうせいつもみたいに雑巾縫ったり、カーテンのほつれたところを直したりするんじゃないのか?
ちがうんだ!これを見てくれ!
カレーうどん跳ねさせたら大目玉くらいそうな白い布だな。日常生活では使いづらそうだ。
そう。おそらくだが、持ち主はこの布を使って「衣装」を作ろうとしている。
!!!!!
確かに最近ご時世的に中止されていた、さまざまなコスプレイベントが再開しているな...ついに持ち主も衣装を作る気になったのか。
この細長い布、もしかして...!
あぁ、持ち主はフリルを作ろうとしているに違いない。アニメやゲームのキャラクターにフリルは定番だからな。
フリル作り自体はそう難しくない。布をいい感じに折りたたみながら縫えばいいだけだからな。しかしこの布の量となると距離が長すぎる…こんなめんど...厳しいミッションに持ち主が耐えられるわけがない。絶対に途中で投げ出すね。
一体どうすれば...
おまかせください!
誰だ!?
本日より配属されました、スーパーらくらくタックです。よろしくお願いします。
でっっっか!
君が噂の新人君か。この量のフリル、君がなんとかできるって?
もちろん!そのためにここへ来ました。
やっと出番か。
端処理はこちらに任せてくれ。
さっきまで埋もれていた送りジョーズさんがあんなに活き活きとしている!
クソデカアタッチメントスリーマンセルは衣装作り以外ではなかなか使われないからな。コスプレイベント再開を一番喜んでいるのはこいつらかもしれない。
セット完了!いきます!
うおおおおおおおおお!!
ぬぉおおおおおお!!!
てゃああああああ!!!!
これぐらいのフリルなら30秒ほどでできます。爆速ですね。
スーパーらくらくタック、まさにスーパーでらくらくなのでおススメです。
おわり。