しもじものたみ

生き抜け!コンクリートジャングル

ちんちん(下ネタ的な意味ではない)

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どうも、たみです。


わたしの夫には祖母がいる。都会生まれ都会育ちのシティー派ウーマンかつ、つい数年前まで看護師として働いていたキャリアウーマン。どうやらわたしは、この人から格下認定をされているっぽい。


結婚の挨拶にうかがったとき、開口一番「三河の芋が来たわ」と言われた。
もうね、ネーミングセンス。独特すぎる。
都会でお育ちのおばあさま、三河はド田舎と思っている節がある。山まで視界を遮るものがなく田んぼしかない、軒先にはイノシシが吊るしてあると思ってる。「星野珈琲なんてあなた入ったことないでしょう?」と謎のマウンティングをかましつつコーヒーをおごってくれた。いい人なのか憎むべき人なのかわからないのでキャラの統一をしてほしい。


すかさず義母にチクった。おかーさーん、おばあちゃんがいじわるなこというー。なんなら実母と妹にもチクった。皆笑うだけで怒ってくれなかった。ははーんさてはみんなしてわたしのこと、三河の芋だと思ってるな?おい血縁者ども、お前らも三河の芋だぞ。

 

そんなわたしの産地、三河がある愛知県で昔、あるバンドがライブをしたの。当時そのバンドにどハマりしてたもんだから、もう狂喜乱舞。名古屋を飛ばさないでくれてありがとう。楽しみすぎて生きる活力がみなぎり1日5食食べてた。体重は10キロ増えた。


んで、ライブ当日、どすこいどすこいと会場に向かったの。名鉄のホームで何度か乗り換えを聞かれたし、意外と他県ナンバーの車がいてびっくりしたのを覚えてる。

 

控えめに言ってライブは最高だった。
目の前で動く推しに動悸息切れが止まらない。2階席だったもんだから、もう小指ぐらいの大きさにしか見えなかったけど、隣の席のマダムが「ほらっこれ使いな!」つって双眼鏡を貸してくれたから推しのまつ毛まで見えた。それはまさに戦場の絆。ありがとう名も知らぬ兵よ。

 

当時そのバンドは地上波でちょくちょく出てたからか、2階席はカップルや家族連れがまぁまぁいた。「がんばえーー!!!」って大声で応援してるキッズもいた。わかるよ、わたしもそうしたい。

 

このバンドのライブの名物に、MCでマイクを使わずに叫ぶっていうやつがね、あったんです。しかも、このツアーでは「会場のある地域方言を使って叫ぶ」というサービスがあったの。そういうところ大好き。別会場では「◯◯(会場名)ぶち愛してるー!!」とかやってもらったらしい。わたしも愛してもらいたい。

 

んで、ついに待ちに待ったMCの時間。推しが舞台の中央に立ってマイクを下ろす

 

「名古屋ー!!ちんちんになってるかー!!!」

 

1階席はもうドッカンドッカン大盛り上がり。一方2階席は「え....アッいえ~い...!!」というなんとも歯切れが悪いノリ。


わかるよ、2階席のみんなの言いたいこと。ちんちんだよね。ちんちん。ちんちんになってるかと聞かれたらそりゃそんなリアクションにもなっちゃうよね。なってるかなってないかでいえば、なってますかね、みたいな。わたしはネイティブ愛知県民だから、ちんちんが「アホほど暑い(熱い)」の意味だってわかるけどさ、アウェーから来た他県ナンバーの方はすぐ脳内変換するの難しいでしょ。だってちんちんだよ?別の意味合いが持つパワーが桁違い。田舎の方言如きが太刀打ちできる相手じゃない。

 

そもそもだけど、最近このバンドを、テレビやらで見て興味をもって「とりあえず生で見とくか~」って一番安いチケット買って2階席に来た人からすると、そもそもなぜ叫んでるかも分からないでしょ。わたしもわからないもん。それに加えてちんちん。1階席の民は熱心な信者なので推しが何言おうと盛り上がれる。むしろちんちんで喜んでいる可能性すらある。でもね、2階席はまだその段階に至っていないの。信仰心がまだ芽生えてないの。生まれたてのバブちゃんにバーサーカー見せつけるのはよろしくないな?

 

MC終了後、つつがなくライブは進行するも、困惑の色が隠せない2階席と、バーサーカーソウルでヘドバンを繰り広げる1階席の温度差は広がる一方。たぶん、蜃気楼とか、できてたんじゃない?どちらも気になってしまってわたしもライブどころではない。隣の戦友もアルカイックなスマイルを浮かべて動かなくなっちゃったよ。

 

最後の曲、アンコールも終わり、皆が家路に着く。「マジでよかった」「セトリが~」というライブの感想に混じってどこからともなく「ちんちん...」「ちんちんって...」という声が聞こえる。我が故郷がちんちんなんて使うばっかりに、推しが辱められているようでいたたまれない。スタッフさん、今度からMCの内容は事前協議をお願いします。できれば現地のネイティブや有識者を交えて。ほんとにお願いね。

 

あともう一つ。
ちんちんは「安心」のイントネーションでお願いします。推しよ、あなたのは、その、「点心」なの。先頭にアクセントを置かないで。もっと平たんに。あなたのそれは、アレだから。ごめんね細かくて。でも大事なことだからさ、ほんと。お願いします。

 

後日発売されたライブのDVDではMCシーンがカットされてた。

三河の芋としてはとても安心!