こんにちは、たみです。
先日親が我が家に来訪しまして。特に事前の連絡などなく。
その時のわたしはと言うと、
すみっコぐらしのとかげちゃんのパジャマを着て
親から
「あんた小学生の時から時間止まってるの?」
とお小言をいただいてしまった。
実家を出て所帯を持っている娘がこのザマなのを見て両親は不安に襲われたようで、洗濯機の稼働状況や浴槽の清掃具合などを念入りにチェックして帰った。
わたしは幼き頃風呂掃除当番だったが、シャワーで浴槽を湿らせて「洗った」と言い張っていたので、その時の記憶が親の中でフラッシュバックしたのかもしれない。
奇跡的に来訪の前日に夫が全て片付けてくれていたので事なきを得たが、今後もこのような抜き打ちチェックがあれば、日々すみっコぐらしのパジャマを着て、ゲームをして、おやつを食べて楽しく小学生ライフを送っているのがばれてしまう。そうなれば厳しめの叱られが発生すること必至である。
成長を、見せなければ。
小学生の時から成長しているというところを知らしめねば。
二度と抜き打ちチェックをする気を起させないほどの、圧倒的な成長を見せつけなければ。
そこで、ここ20年ほどで成長したところを考えてみたのだけれど、びっくりするほど見つからない。身長は6年生ごろから伸びが止まったし、体重が立派になったことを成長と言い張る勇気はなかった。いまだに小数点のある掛け算割り算の筆算は怪しいし、50M走は10秒を切れたことがない。
メキメキ成長しているところはないものか。
そういえば、大人になってから、しかもここ2年以内に急速に成長した分野を思い出した。
親知らず。
2年前はちっとも顔を出していなかった親知らずが、突然地上目指して生えてきたの。1本2本と生えそろい、つい1か月ほど前に無事すべての歯が歯茎を突き破り表面に現れた。あっという間に生えてきて、瞬く間に口内炎を量産した。何を食べてもほんのり血の味がする日々を送っている。
これぞ、圧倒的成長。
親が知らないうちに生えてくるから「親知らず」。親知らずを親に見せることこそわたしの成長を知らしめることにつながるはず。「いつのまにこんなに成長していたの...!?」と歓喜するに違いない。
ついでに口内環境が改善されて、おいしいごはんが食べられるようになれば一石二鳥だ。
思い立ったが吉日、
親知らず、ぶち抜いてもらいますか。
そうして意気揚々と歯医者に予約を入れた。
親知らず抜歯経験者からは「痛い」だの「腫れる」だの「熱が出る」だの怖いことをたくさん言われた。友人の一人は怖さを和らげるために、パーティーを開いてくれた。怖くないと言ったらうそになる。でも、何を食べても口内炎味になるぐらいなら、わたしは抜歯の苦行を受け入れる。
そうこうして、やっと予約日に。
先生に「親知らず抜いちゃってください」と言ったら、「抜かずに済むならそれに越したことはないので、まずはレントゲンを撮りましょう。」と言ってくれた。
確かに。日々の鬱憤のせいで抜歯することしか頭になかったけれど、ちょちょいといじって済むならそのほうがいいよね。先生ありがとう。
んで、撮ったレントゲンを見るとね、素人目にも「あーこれ抜くわな」って察しちゃった。みんな好き放題やってる。特に下2本は隣の歯に向かって生えてる。エドモンド本田もびっくりの水平頭突き。なんでそんなに喧嘩腰なの?隣人ともうちょいうまくやれない?
エドモンドな親知らずは個人病院では手に負えないらしいので、スムーズに抜ける可能性がある右上親知らずを抜歯してもらうことに。
ここで、皆さんに試してほしいことがある。
左手で下唇を下に引っ張っり、右手で右口角を右目の方向にむかって引っ張る。そのまま口を全力で開ける。
これが、施術時のわたしの顔面状況です。
少々斜めに生えていたらしく、器具が口角をぐいぐい横に引っ張るもんだから顔面パーツ総崩れ。さながらストッキングをかぶって引っ張られた時のような感覚。
麻酔のおかげで抜歯そのものに痛みはなかったけれど、なんか、心がね、痛かった。抜歯経験者は様々なアドバイスをくれたけど、誰も「バカの顔面になることがあるから注意して」なんて教えてくれなかったじゃない。
ブサイクオブザイヤーな抜歯を終え、銀のトレーの上に置かれた親知らずを指さして「これください」と言うと、先生は快く渡してくれた。「持って帰ってどうするんですか?」と聞かれるとは思ってなかったので「今後の参考に...」という意図せず意味わからん返しをしてしまったのが悔やまれる。親知らずをテイクアウトするときは言い訳も用意したほうがいいです。
止血も問題なく終わり、スムーズにお会計まで進んだんだけど、こんなところにまでSDGsの波が来てる。
レジ袋が有料。
生粋のケチなわたしといえど、この状況ではさすがにレジ袋を買いたかった。しかし、大人あるまじき財布の中身だったので抜歯代とお薬代を払ったらレジ袋すら買えなかった。むしろ診療費が払えたのが奇跡。次からは財布の中身も確認しよう。
処方された薬たちは上着のポケットに入れたが、親知らずはなんとなくポケットに直で入れるのは憚られるので手で持って帰ることにした。でもね、抜きたての歯をガーゼにくるっと気持ち巻いてくれただけだもんだから、だいぶヌーディー。歯だってもろバレ。道行く人に「あの人歯もらうんだ...」と思われながら、家路を急いだ。
歯茎と心に傷を負いながら持ち帰った親知らずがこちら。
これを親に見せるべく、
いざ、実家へ。
こんにちは
え?突然なに?
親知らず...見たくない?
かばんの中に親知らず入れてるの?キモイ...見たくないんだけど。
―完―
嫌がる人に見せるわけにはいかないので、終了です。
ありがとうございました。
などと、ただで転ぶわたしではない。
なんとしても親に親知らずを見せつけてやる。
ということで、
お湯で柔らかくなるねんどを使って
歯の型を取って
紫外線で固まる樹脂を流して固めて
完成。
実際の親知らずを見せるのはさすがに自分でもキモかったな、と反省したので、親知らずレプリカを作成。
実際の親知らずと比較してもまあまあいい感じ。
細かなディティールが失われたことでキモさ半減したし、イケる。
いざ、実家へ。(2回目)
こんにちは
うわ、また来た
親知らず見せにきました。今度はちゃんと作ったから安心して。
作ったってなに。意味不明なんだけど
こちらです...あれ?
―完―
上着のポケットに突っ込んでいったら、原付で帰郷中にどこかに産み落としたみたいです。
ありがとうございました。
ここまで来たら何としても親に見せる。
絶対にだ。
レプリカ作って、穴開けて、
なんやかんやして
完成。
ポケットに入れて落ちてしまうなら、身に着けられるようにすればいいじゃない。
レプリカ親知らずを加工して、アクセサリーにした。
これなら親に確認を取らずとも、さりげなくチラ見せすることも可能だ。
いざ、実家へ。(3回目)
こんにちは
暇なの?
なんかさーぁ気づくことない?
太った?
そういうのじゃなくて
えー...あっ
親知らずじゃん。ここまでして見せてくるとは思わなかった。
実はここにも
歯への執着がすごい
歯茎から出てきた親知らずをピアスで再現しました。
なんか詰め物みたいなのが見えるんだけど
装着用の磁石を埋めたら銀歯になってしまったわけ。実際の親知らずは虫歯じゃなかったから安心して。
磁石でくっつくから、好きな金属製品に親知らずを生やすことができるよ。
生やさんでいい
どうだ、親よ。
わたしの成長はすさまじいでしょう。
こんなに大きくなりましたよ。
だから心配しないでね。
あんた小学生の時に前歯が抜けた時もこうやって執拗に抜けた歯を見せつけてきたよね。精神が小学生のままじゃん。
親知らずを見せることで、成長したわたしを誇示する予定が、逆の結果になったようです。小学生のメンタリティのまま生きていることの証明を自分でしてしまった。
今回娘の親知らずを見たわけだけど、何か感想はない?
子どもの歯は乳歯以外あんまり見たくないわな
皆さんも、親に見せる歯は乳歯までにしておきましょう。
それでは。